【解説】103万円の壁とは?主婦のパートや子供のバイトで扶養家族が103万円超えたらどうなるの?

お金の知識

パートにかかわる様々な壁。今回は「103万円の壁」にフォーカスして解説します。

私たち子育てママがパートで働こうとするときに、いったいいくらまで働くのがお得なのか?ということでよく耳にする「○○円の壁」。

これまで、100万円106万円130万円150万円201万円とご紹介してきましたが、今回は「103万円の壁」を解説します。

実は103万円の壁は、パートで働こうとしているママだけではなく、お子さんのアルバイトや一緒に暮らす高齢のご両親や祖父母にもかかわってくる金額です。

3世代、4世代で生活していたら、その家族の収入も税金に関わってくるものね!

そうなんです!

世帯主の収入や家族構成によって、いったいどの壁に合わせて働くのが一番得なのかも変わるので、それがわかるのは当人だけです。(FPに相談するのもいいですね!)

ちょっと混乱してきたなという方は、先にこちらの記事から目を通してもらえると情報が整理できると思います!

それでは、103万円の壁について、どこよりも詳しく説明していきたいと思います。

「103万円の壁」とは?

「103万円の壁」とは、税金に関する年収制限の壁を指します。

103万円を境に、働いている本人に対して所得税(5%~45%)が課税されることに加え、世帯主の「扶養控除」から外れて所得税額が上がります。

場合によっては、世帯主の会社から出る扶養手当の年収上限が103万円に設定されている場合、仮に妻10000円+子5000円の支給がある場合、1年で18万円を受け取れるか受け取れないかの境界となります。

103万円の壁は「自分にかかる税金」「世帯主の扶養控除」「もらえる扶養手当(ある場合のみ)」の3つの項目に影響を与えると認識しておきましょう。
 

年収103万円は支給される交通費は含まれる?

所得税が課税される所得は、通勤手当などの非課税分を除いた総支給額で計算されます。

そのため、収入の103万円の中には、会社から支給される交通費や通勤手当は含みません。

例外としては、1ヵ月あたりの交通機関を利用している場合の交通費が15万円を超えると、課税対象となります。

日給制などで、給料の中に交通費が含まれている場合にも課税対象の収入とみなされるので注意が必要です。

さすがに、パートやアルバイトの交通費が15万円を超えることは無いわよね、、、。

年収103万円の壁はその年の1~12月の収入で計算

所得税の年収の計算は、その年の1月から12月までに支払われた収入の合計となります。

4月からパートを始めたとすれば、4月から12月までに支払われた収入の合計が103万円までであれば所得税の課税対象にはなりません。

また、その年の途中で勤務先を変えた場合には、全ての勤務先から得た収入を合わせて、年収を計算する必要があります。

12月に働いた分のお給料が、翌年1月に支払われる場合は、年収の計算はどうなるのかしら?

その場合、1月に支払われるお給料は翌年の収入として計算されます。なので、12月に支給される11月働いた分のお給料までが、その年の年収の計算に含まれますね。

「年収103万円」という金額の根拠はなにか?

「103万円」って、なんだかものすごく中途半端で、そもそもこの103万という数字はどこからきたのか気になりませんか?

実は、所得税の対象となる課税所得を算出する際には、税金が免除になる「控除」というものがあるのです。

「基礎控除」「給与所得控除」という二つ控除金額を1年の収入から引いて、残った金額に所得税率を掛けて算出する所得税。

この基礎控除「48万円」と、給与所得控除の最低金額「55万円」を足すと103万円となり、差額が出ないので所得税がかからないのです。

2020年(令和2年度)以降の給与所得控除

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)
出典:国税庁ホームページより

基礎控除額

個人の合計所得金額控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円
出典:国税庁ホームページより

2020年の税制の改正で、給与所得控除の金額と基礎控除の金額が変わりました

103万と扶養家族の関係

所得税の「控除」には、基礎控除や給与所得控除のほかにも様々な控除があり、扶養する家族がいることによって受けられる控除が存在します。

その基準となるのが給与収入103万円(合計所得が48万円以下)と言うことになります。
※103ー給与所得控除55万円=48万円

主な扶養に関する控除

控除の種類対象者条件控除額
扶養控除配偶者以外の16歳以上の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)給与収入103万円(合計所得が48万円以下)38万円
特定扶養親族控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人給与収入103万円(合計所得が48万円以下)63万円
老人扶養親族(同居)年齢が70歳以上の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者又はその配偶者と普段同居している人給与収入103万円(合計所得が48万円以下)58万円
老人扶養親族(同居以外)控除対象扶養親族のうち年齢が70歳以上給与収入103万円(合計所得が48万円以下)48万円
配偶者控除民法の規定による配偶者(内縁関係の人は対象外)給与収入103万円(合計所得が48万円以下)最大38万円
配偶者特別控除民法の規定による配偶者(内縁関係の人は対象外)給与収入150万円(合計133万円以下)まで最大38万円
出典:国税庁ホームページより

基本的に、扶養される家族を年収103万円以下に抑えていれば、一家の大黒柱(扶養者である主)の収入からこれらの控除を受けられ、支払う税金が抑えられるという仕組みです。

扶養される家族が配偶者である場合、子供でも年齢によって、その他高齢の親族は同居の有無によっても控除金額が変わます。

「扶養に入る」ってことは、「控除対象になる」と言うことね!

扶養する妻がパートで103万超えたらどうなる?

所得税だけでなく住民税も上がる

まず103万の壁は、自分のパート収入に所得税が発生するかどうかのボーダーラインです。

103万円を超えた金額に所得税率がかけられ、所得税が算出されます。

また、収入が増えれば所得税だけではなく住民税も増加します。(住民税と所得税は計算方法や納付先が異なります。)

パートであれば、約年収100万円が住民税発生の目安となります。

100万円の壁と呼ばれるのがこれですね。

ただ、収入が103万円までなら、住民税は数千円から1万円程度なので、103万円を少し超えても、所得税のように大きく税額が変わることはありません。

配偶者の税金に影響する

103万の壁を超えると、自分に税金がかかるだけでなく、配偶者の所得税にも影響します。

年収が103万円を超えると配偶者控除は受けられなくなりますが、150万円までなら配偶者特別控除が受けられます。


また配偶者の勤め先から配偶者手当を支給されている場合は、支給条件をしっかり確認しておきましょう。103万円を扶養の境としているケースがあります。

年収103万円未満に抑えるメリット

103万円未満に抑えれば、パートする側は所得税も社会保険料もかからず、年収103万円未満がまるまる手取りとなります。(一部住民税がかかる)

また、配偶者の所得税にも配偶者控除が適用されます。

ただし、一家の大黒柱が年間所得1,000万円(給与所得者で年収1,195万円)以上稼いでいる場合は制度の対象外ですので気にする必要がなくなります。

配偶者特別控除もあるので、社会保険の扶養の制限となる106万円130万円まで稼ぐというのも選択肢として考えられますね。

子供のアルバイト収入が年収103万超えたら?

親の税金負担が重くなる

所得税の場合、16歳以上の子どもは扶養控除の対象になります。

高校生や大学生のお子さんがアルバイトを始める際には、その収入にも気を付ける必要があります。

16歳以上の子どもが親の扶養家族にいる場合、扶養控除額を差し引くことで所得税と住民税の課税対象額を減らすことが可能です。

特にに大学生の年齢となる19歳以上23歳未満の子どもは「特定扶養親族」の対象となり、63万円の控除が受けられます。さらに住民税も、20歳の扶養控除額は45万円あります。

「特定扶養親族」対象の子どもが年収103万円より1円でも多く稼いでしまうと、親の控除はなくなり、所得税控除分63万円と住民税控除分45万円が課税対象となります。

  • 親の所得税率10%:63万円 × 10% + 45万円 × 10% = 10万8千円の負担増
  • 親の所得税率20%:63万円 × 20% + 45万円 × 10% = 17万千円の負担増
  • 親の所得税率30%:63万円 × 30% + 45万円 × 10% = 22万5千円の負担増

また、本人にも所得税の課税と、20歳以上では住民税も増加することになります。

学生なら「勤労学生控除」を使えば103万円超えてもOK?

「勤労学生控除」とは、生活費などのためにアルバイトをする学生向けた控除制度で、条件を満たすことで非課税の上限が最大130万円まで拡大するものです。

勤労学生控除の条件

①給与所得などの勤労による所得があること

②合計所得金額が65万円以下で、しかも①の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること 

③特定の学校の学生、生徒であること この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。
 (1) 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
 (2) 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
 (3) 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
 

 出典:国税庁ホームページ

勤労学生控除を受ける際の注意点

勤労学生控除は受ければ、自身の所得税は130万円までは課税されません。

ただし、「年末調整」「確定申告」をする必要があるので、その点注意が必要です。

やはり、年収103万円を超えた時点で、親の扶養を外れることとなるため、親の納税額は増えることになります。

扶養手当と健康保険にも影響が

さらに、親が勤務先から支給されている扶養手当(家族手当)がもらえなくなる場合もあります。これは、扶養家族の給与額を103万円以下とするのが一般的だからです。

また、親の健康保険が社会保険の場合、基本的に学生は親の扶養家族となりますが、130万円超の所得があると扶養家族から外れ、自分で国民健康保険に加入して保険料を支払っていく必要があります。

子供のアルバイトは年収103万円以下がベスト

特に19歳以上23歳未満の学生は「特定扶養親族」という税制上のメリットを得ているため、アルバイトで年収が103万円を1円でも超えると、親の収入が大きく減ってしまいます。

また、親が勤務先から扶養手当(家族手当)を受け取っている場合や、健康保険の扶養から外れて自分で国民健康保険に加入する金額など、トータル的に考えて103万円を超えるとかえって働き損が生じることになります。

子供がアルバイトを始めるときには、「103万円」を1円でも超えないように、きちんと伝えておく必要があるわね!

年収103万円ってどんなもん?

年収103万円を身近に感じるために12か月で割ってみると、「85,833円」でした。

毎月8万5千円ちょっとに抑えていれば、103万円を超えることはありませんね。

試しにこれを時給別の労働時間に落とし込んで計算してみました。

時給額月の労働時間週の労働時間
900円95時間23時間
90時間22時間
1000円85時間21時間
1100円78時間19時間
1200円71時間17時間
1300円66時間16時間
1400円61時間15時間
1500円57時間14時間
※小数点以下切り捨ての概算

時給がいくらなら、どのくらい働けるかの目安になるかと思います。

パートやアルバイト先の時給から、働ける上限の時間を計算してみましょう。

ただ、このコロナ渦で思うようにバイトのシフトに入れてもらえないっていうのは、よくパートしているママ友から聞くわ!

そんな時は、自分の特技を販売したり、パート以外の収入をプラスして103万円を調整できるといいですよね!

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しょう君のママ
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税制度は頻繁に改正されるので、こまめにこのブログをチェックして知識を増やしていきましょうね!

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