STEP1|パートと扶養控除【103万と130万】2つの壁の違いに見る扶養の種類

お金の知識

パートで働き損をしたくない人必見!「社会保険の扶養」「税制上の扶養」この2つの扶養の違いについて解説します。

パートを始めようと思うと、よく「扶養内で働くか扶養を外れて働くか」ということが取りざたされます。

実はこの「扶養内」には、2つの種類があります。

このあたりが曖昧で、今一よくわかっていないという方のために、2つの扶養の違いを分かりやすく解説します。

この記事でわかる事
  • 「扶養」には「社会保険の扶養」「税制上の扶養」の2種類がある
  • 2つの扶養の違いについて理解できる
  • それぞれの扶養家族になる条件がわかる
  • 103万円の壁130万円の壁の意味が理解できる

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そもそも扶養家族とは何?

「扶養内」「扶養外」の前に、まずは扶養家族についておさらいしておきましょう。

「扶養家族」の広義の意味

一家の主の生計で養われる、配偶者・子・親・親族のこと

(夫など主たる生計者から見て、生活費を出して養っている家族のこと)

ただ、これは広義の意味の扶養家族であって、実は「税法上(所得税)」「社会保険上」では、明確にその対象や条件が異なっています。

なんだかちょっとややこしそうね、、、。

2つの「扶養家族」の違い

2つの制度によって、扶養家族の条件や定義が変わります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

社会保険と扶養家族の条件

社会保険には、「雇用保険」「労災保険」「健康保険」「厚生年金」「介護保険」の5つがあり、その中で「扶養家族」に関係するのが「厚生年金」「健康保険」です。

※健康保険は組合ごとにルールが異なります。当記事では一般的な全国健康保険管掌健康保険(協会けんぽ)を例に説明。

厚生年金制度における扶養家族

厚生年金で、扶養家族になれるのは「20歳以上60歳未満の配偶者」のみです。

厚生年金の扶養家族は国民年金の「第3号被保険者」という扱いになります。

※詳細は下記の記事にて紹介します

健康保険制度における扶養家族

健康保険制度における扶養家族のことを「被扶養者」と呼びます。

被扶養者になることで、保険料を納めずに高額療養費、家族療養費、家族出産一時金などの給付を受けられるようになります。

被扶養者の範囲
  • 配偶者(内縁関係も含む)
  • 子(養子も含む)
  • 弟・妹
  • 父母や祖父母など直系の自分より前世代の親族
  • 【同居の場合に限り】兄や姉、叔父や叔母など3親等内の親族
  • 【同居の場合に限り】内縁関係の配偶者の父母、子

健康保険上の扶養家族って、思っていた以上に範囲が広いのね!

でも、「被扶養者」の範囲内だからと言って、誰でも被扶養者になれるわけではなくて、収入に関する条件があるんです!

健康保険被扶養者の収入条件

健康保険制度で、被扶養者になるための収入条件を、被扶養者の状況別に表にまとめました。

被扶養者の状況収入の条件
同居している場合年間収入が130万円未満かつ被保険者の年間収入の半分未満
別居している場合年間収入が130万円未満かつ被保険者からの援助(仕送りなど)の合計額よりも年間収入が少ない
60歳以上または障碍者の場合年間収入が180万円未満かつ被保険者の年間収入の半分未満

健康保険制度における扶養家族になるためには、被扶養者の範囲以内かつ上記の収入要件を満たす必要があるということです。

この収入の上限が130万円であるため、健康保険の扶養内で働くことを一般的に「130万円の壁」と言います。

ちなみに履歴書などで問われる「扶養家族」はこの、健康保険上の扶養を意味します。もしあなたが夫の扶養でパートを始める場合は、あなた自身が被扶養者になるので、お子さんがいたとしても「0」と言うことです。

所得税制度における扶養家族とは

次に、税制度上の「扶養家族」についてみてみましょう。

税制度上の扶養家族、つまり納税者の扶養控除の対象となる扶養家族は「配偶者」「扶養親族」と呼ばれる配偶者以外の親族です。

条件を満たした配偶者と扶養親族は、「扶養控除」として38~63万円の所得控除を受けることができ、支払う税金を抑えることができます。

扶養親族の範囲
  • 生計を一にしている納税者から6親等内の血族(血縁関係のある人)
  • 生計を一にしている納税者から3親等内の姻族(結婚によって納税者の親族となった配偶者の血族)
  • かつその年の12月31日時点で16歳以上で、年齢の上限はなし

同居のほかにも、子どもが学業のために別居している場合、親が老人ホームなどに入っている場合などで、その生活資金を支えている場合には、「生計をひとつにしている」とみなされます。

ちなみに、税制上の配偶者は、「民法の規定による配偶者であること」という条件があり、事実婚や内縁関係の場合は配偶者とはみなされない点が、健康保険制度と大きく異なります。

籍を入れていない事実婚夫婦の場合、健康保険の方は配偶者として被扶養者になれるけど、税制上の配偶者として所得税の控除は受けられないということね!

16歳以上しか扶養親族にならないってことは、中学生以下の子供は税制上では扶養家族じゃないの???? 

平成19年4月に0歳から15歳までの子供を対象に、子ども手当(現「児童手当」)支給が導入され、それにともない、15歳までの子どもは扶養控除の対象外になりました。

所得税制度における扶養の条件

所得税法上の扶養控除を受ける収入の条件は下記の通りです。

  • 年間の※合計所得金額が48万円以下であること(令和元年分以前は38万円以下)
  • 給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること(給与所得控除55万円のため)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと
  • 白色申告者の事業専従者でないこと

「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失、特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等の配当所得等(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額)、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。

出典:国税庁ホームページより

また、青色申告白色申告については、納税者が自営業の場合は、その事業を手伝うことによって報酬を受けとっていないことが条件になります。

なるほど!「税法上(所得税)」「社会保険上」2つの扶養の違いやそれぞれの条件についてはわかったわ!でも、扶養内でパートするって具体的にどういうメリットがあるのかしら?

※ただし、所得税の控除は納税者本人の所得合計が1000万円以下の場合に適用されます。

扶養内でパート・バイトをするメリット

「扶養内で働く」とは、健康保険や税制上の扶養に入れるように、パート年収を抑えて働くことを意味します。

扶養内で働くことを検討する人が多いのは、それなりのメリットが大きいところによります。

健康保険の扶養内でパートをするメリット

まず、健康保険の被扶養者になると、自分で保険料を払わなくても、健康保険の恩恵にあずかれます。

高額療養費、療養費、出産一時金などの保険給付を受けるには、通常給与の10%の半分(半分は会社と折半)程度の社会保険料を支払う必要があります。

これを支払うことなく、保険に加入できるのが、健康保険の被扶養者の上限年収130万円までに収めて働くメリットです。

また、130万円を超えて社会保険料を差し引いた手取り金額と、差し引かない金額がさほど変わらないか、もしくは「働き損」になる場合があるため、働く時間をコントロールして収入を抑えることがかえってメリットになります。

※2022年、社会保険の対象者拡大の制作によって、130万円の壁は106万円の壁に拡大されます。

所得税法の扶養内でパートするメリット

所得税法の扶養内でパートをするメリットは「所得税控除」を受けられることです。

所得税の控除は、配偶者控除と扶養者控除があり、下記の金額が収入から控除されたうえで所得税の計算がされます。

そのため、扶養者が多い場合は、収める税金が少なくて済むのです。

これが、年収103万円以内に収めて所得税の扶養に入るメリットです。

※また103万円と言う年収は、自身の所得税が非課税になるボーダーラインでもあります。

配偶者控除の金額

納税者本人の
合計所得金額
70歳未満の配偶者の控除額70歳以上の配偶者(老人控除対象)の控除額
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円
出典:国税庁ホームページ

ちなみに配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)がプラスで控除されます。

※令和2年(2020年)に「配偶者特別控除制度」が見直しがされ、対象となる配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下となり、控除額は納税者の所得により段階的になりました。

詳しくは別の記事にまとめました。

扶養控除の金額

配偶者以外の扶養親族の控除額は、同居の有無などにより、下記の表の通りとなります。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族 (その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人)38万円
特定扶養親族 (その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人)63万円
同居老人扶養親族 (70歳以上の直系の尊属)58万円
同居老親等以外の老人扶養親族 (その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人)48万円
出典:国税庁ホームページ

大学生相当の年齢19歳以上23歳未満の親族を養っている場合が、一番大きく所得を控除されます。

この年齢の親族と家計を一つにしている場合、アルバイト収入が103万円を超えてしまうと、この控除が受けられなくなります。

子供がアルバイトをするようになったら、その年収もちゃんとコントロールしなくちゃいけないわね!

103万の壁と130万の壁の違い

ここまで2つの扶養についてみてきました。

103万円、130万円という年収が、これらの扶養のキーポイントになることがわかってきたと思います。

一般的に、この2つの年収は「103万円の壁」「130万円の壁」と言われています。

103万の壁と130万の壁
  • 103万円の壁】所得税の配偶者控除・扶養控除を受けられる&自身の所得税非課税年収のボーダーライン
  • 130万円の壁】社会保険の被扶養者になるための年収のボーダーライン

この103万と130万の壁については、もう少し掘り下げてそれぞれ別の記事で解説したいと思います。

まとめ

  • 「扶養」には「社会保険の扶養」「税制上の扶養」の2種類がある
  • 社会保険の扶養は年収130万円がそのボーダーラインとなる
  • 所得税の扶養は年収103万円がそのボーダーラインとなる
  • 扶養内でパートをすることで得られるメリットが2つの扶養それぞれ異なる
  • 主婦のパートだけでなく、子供のアルバイトにも扶養は関係する
しょう君のママ
しょう君のママ

「扶養」について正しくできましたか?パートするなら、働き損にならないように気を付けたいポイントですね!

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