以前、子供1人にかかる教育資金が3000万円だという試算を出して大きな反響を呼びました。
この3000万円の教育資金というのは「教育費」+「養育費」の合計金額を意味します。
今回は、このうちの「教育費」の部分のみに焦点を当てて解説していきたいと思います。

ただ漠然と「教育資金3000万円」と言われると不安ですよね。
でも、その費用の内訳を正しく知ることで、絶対にかかる教育費の平均額、各家庭でコントロールできる費用の平均額、そのうち国の援助や補助金の対象になる部分などが分かります

確かに、純粋な学費だけの平均金額と、それ以外にかかる学校の平均費用を分けて考える方が、より家計をコントロールしやすいかも!
と言うことで、「教育費」に関する文部科学省の各種調査データを分かりやすくまとめてみました。
養育費も合わせた、子供にかかるすべての金額は下記を参照ください^^
教育費の内容は?
まず初めに、「教育費」について定義しておきたいと思います。
文部科学省のデータでは「学習費」と呼んでいますが、あまり一般的ではないので「学習費=教育費」という認識で進めていきます。
教育費の中身は「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」に分けられ、さらにそのうちの「学校教育費」は「授業料」「修学旅行・遠足・見学費」「学校納付金等」「図書・学用品・実習材料費等」「教科外活動費」「通学関係費」に分けられています。

「学費=教育費」ではないのね!間違って認識していたわ!

「学費」と言うと、ざっくりとは「学校教育費」の部分を指します。もっと厳密にいうと、「授業料」+「学校納付金等」と言うことです。
子供の生涯教育費の平均はいくら?
細かい教育費の内容を見ていく前に、まずはざっくりと子供1人分の生涯にかかる教育費の平均額を一覧で見てみましょう。
区分 | 公立 | 私立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
幼稚園 | 64万9,088円 | 158万4,777円 | 93万5,689円 |
小学校 | 192万6,809円 | 959万2,145円 | 766万5,336円 |
中学校 | 146万2,113円 | 421万7,172円 | 275万5,059円 |
高校 | 137万2,072円 | 290万4,230円 | 153万2,158円 |
大学 | 254万8,150円 | 539万8,765円 | 285万615円 |
合計金額 | 795万8,232円 | 2,369万7,089円 | 1,573万8,857円 |
ざっくりとした教育費だけの平均額は、800万円から2400万円。
全部公立の場合と全部私立の場合には、教育費は約3倍もかわります。

私立に行かせるか、公立に行かせるかって、相当大きな問題になりそうね!
私立と公立で最も大きな金額差を出したのは、小学校で766万円。
この差額だけで、全部公立の場合の教育費を賄えるほどの金額ですね。
私立教育を受ける場合は、どの学年で取り入れるかによって、トータルでかかる費用をコントロールすることもできるので、しっかりと教育計画を立てることが大事です。
子供の教育費大学に行くまでの平均は?
次は、もう少し細かく、大学までの教育費の平均を、各学年ごとに見てみましょう。
学年 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園年少 | 18万8,342円 | 55万1,652円 |
幼稚園年中 | 21万7,121円 | 49万1,275円 |
幼稚園年長 | 24万3,625円 | 54万1,850円 |
小学校1年生 | 35万860円 | 189万2,002円 |
小学校2年生 | 26万3,310円 | 136万6,148円 |
小学校3年生 | 29万2,950円 | 141万5,910円 |
小学校4年生 | 30万9,617円 | 149万7,087円 |
小学校5年生 | 33万9,132円 | 163万684円 |
小学校6年生 | 37万940円 | 179万314円 |
中学校1年生 | 45万6,582円 | 162万4,661円 |
中学校2年生 | 43万6,183円 | 123万122円 |
中学校3年生 | 56万9,348円 | 136万2,389円 |
高校1年生 | 50万7,980円 | 116万16円 |
高校2年生 | 46万470円 | 89万3,127円 |
高校3年生 | 40万3,622円 | 85万1,087円 |
合計 | 541万82円 | 1,829万8,324円 |
公立の中で一番お金がかかる学年は、中学3年生です。高校受験を控えた学年であることがうかがえます。
私立の方では、各学校区分の初年度が一番高い傾向があります。これは「入学金」や「制服などの学用品代」が一気に発生する事が想定できます。
私立の中では、小学1年生の年間教育費が一番高額になっています。

大学までの教育費の平均額は540万~1800万円と、3.4倍の開きがあります。
ママ友に影響されたり、周囲に合わせて安易に私立を選ぶと、大変な未来が待ち受けていることが想像できますね!
大学の教育費の平均金額
大学にかかる教育費についても、もう少し詳しく見ていきましょう。
公立 | 国立 | 私立文系 | 私立理系 | 私立医歯系 | |
---|---|---|---|---|---|
入学料 | 39万3,618円 | 28万2,000円 | 23万1,811円 | 25万4,941円 | 105万306円 |
施設設備費 | 15万2,496円 | 18万4,102円 | 87万2,711円 | ||
年間の学費 | 53万8,633円 | 53万5,800円 | 78万1,003円 | 110万1,854円 | 284万7,940円 |
4年間の合計 | 254万8,150円 | 242万5,200円 | 396万5,807円 | 539万8,765円 | 2,337万4,212円 |
大学に関しては、短大や大学院など他にも選択肢はありますが、一旦この5項目を参考にします。
最低250万円から2300万円とかなり幅が大きいのも大学の特徴です。
高校卒業までに200万円から500万円程度を子供一人に準備する家庭が多いのは、私立の理系大学くらいの費用を賄うことを想定しているからです。
学費の平均までもっと詳しく知りたい!
ここまでは、学習に関わる全ての費用の「教育費」全体を見てきましたが、学費を含むその内訳について、さらに詳しく見ていきましょう。
区分 | 公立園 | 私立園 | 公立小 | 私立小 | 公立中学 | 私立中学 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学費 | 120,738 | 331,378 | 63,102 | 904,164 | 138,961 | 1,071,438 | 280,487 | 719,051 |
給食費 | 19,014 | 30,880 | 43,728 | 47,638 | 42,945 | 3,731 | ー | ー |
学外活動 | 83,895 | 165,658 | 214,451 | 646,889 | 306,491 | 331,264 | 176,893 | 250,860 |
合計 | 223,647 | 527,916 | 321,281 | 1,598,691 | 488,397 | 1,406,433 | 457,380 | 969,911 |
こうして教育費の内訳を見てみると、各学校区分と私立公立の間で、どのような費用にウェイトを占めているのか、またどの費用の差が大きいのかもよくわかります。

学費だけの平均金額は?
「授業料」「修学旅行・遠足・見学費」「学校納付金等」「図書・学用品・実習材料費等」「教科外活動費」「通学関係費」を含んだ「学校教育費=学費」として、各学校区分ごとに学費だけを抽出して比較してみました。
区分 | 公立 | 私立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
幼稚園 | 12万738円 | 33万1,378円 | 21万640円 |
小学校 | 6万3,102円 | 90万4,164 円 | 84万1,062円 |
中学校 | 13万8,961円 | 107万1,438円 | 93万2,477円 |
高校 | 28万487円 | 71万9,051円 | 43万8,564円 |
学費だけを比較してみてみると、公立と私立では中学校での差が一番大きいことがわかります。
そして、公立の小学校が最も学費が安いですね。

特に、小学校と中学校で私立に行かせるかどうかで、必要になってくる教育費全体が大きく変わりそうね!
幼稚園の学校教育費(学費)の平均
ここからは、さらにさらに学校教育費の内訳部分まで詳しく見ていきましょう。
区分 | 公立 | 公立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
授業料 | 6万6,206円 | 21万1,076円 | 14万4,870円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 2,492円 | 3,494円 | 1,002円 |
学校納付金等 | 1万2,711円 | 5万4,755円 | 4万2,044円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 8,573円 | 1万2,441円 | 3,868円 |
教科外活動費 | 460円 | 2,541円 | 2081円 |
通学関係費 | 2万689円 | 3万6,499円 | 1万5,810円 |
その他 | 9,607円 | 1万572円 | 965円 |
学校教育費合計 | 12万738円 | 33万1,378円 | 21万640円 |
幼稚園の私立と公立の大きな違いは、その学費にあります。逆に、その他の費用に関しては大きく違いがありません。
現在は保育無償化で、幼稚園のこの学費が上限はあるものの補助されるようになり、私立と公立の費用差はさらにに縮まることとなります。


一昔前だと、私立幼稚園って結構高かったけど、今は公立幼稚園とほとんど変わらない金額で通えるわね!
小学生の学校教育費(学費)の平均
小学生の学費の内訳の平均も見てみましょう。
区分 | 公立 | 公立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
授業料 | 0円 | 485,337円 | 485,337円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 6,951円 | 4万4,816円 | 3万7,910円 |
学校納付金等 | 1万2,235円 | 23万1,425円 | 21万9190円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 1万9,673円 | 3万2,055円 | 1万2,382円 |
教科外活動費 | 2,041円 | 1万507円 | 8,466円 |
通学関係費 | 1万8,032円 | 9万749円 | 7万2,717円 |
その他 | 4,170円 | 9,275円 | 5,105円 |
学校教育費合計 | 6万3,102円 | 90万4,164円 | 84万1,062円 |
公立小学校は、なんといっても授業料が無料。
学習にかかる実費は負担になるものの、私立の100万近い年額に対して6万円は大きい違いです。

そうはいっても、それぞれの家庭の事情で、年間6万円×子供の人数の捻出が家計を圧迫する場合もあります。
ランドセルなんかは年々価格が高騰していますしね、、、。
そういった場合は、住民税非課税家庭でなくても、公的な援助制度も利用できます。

中学生の学校教育費(学費)の平均
区分 | 公立 | 私立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
授業料 | 0円 | 42万8,574円 | 42万8,574円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 2万6,217円 | 8万2,578円 | 5万6,361円 |
学校納付金等 | 1万6,758円 | 30万5,130円 | 28万8,372円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 2万5,413円 | 5万198円 | 2万4,785円 |
教科外活動費 | 2万9,308円 | 5万5,796円 | 2万6,488円 |
通学関係費 | 3万7,666円 | 14万765円 | 10万3,099円 |
その他 | 3,599円 | 8,397円 | 4,798円 |
学校教育費合計 | 13万8,961円 | 107万1,438円 | 93万2,477円 |
中学校の私立と公立は、授業料や通学関係費の差が大きいほかに、他のすべての費用も平均的に倍額ほど違います。

公立中学校は授業料は無料であるものの、小学校と比較するとその他の費用は増え、年額で言うと倍近く変わります。
中学校でも、「就学援助」は利用できます。
高校の学校教育費(学費)の平均
区分 | 公立 | 公立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
授業料 | 2万5,378円 | 23万26円 | 20万4,648円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 3万5,579円 | 5万3,999円 | 1万8,420円 |
学校納付金等 | 5万5,360円 | 21万5,999円 | 16万639円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 4万1,258円 | 4万2,675円 | 1,417円 |
教科外活動費 | 4万427円 | 5万6,224円 | 1万5,797円 |
通学関係費 | 7万9,432円 | 11万4,043円 | 3万4,611円 |
その他 | 3,053円 | 6,085円 | 3,032円 |
学校教育費合計 | 28万487円 | 71万9,051円 | 43万8,564円 |
高校になると、小中学校と比較すると私立と公立の差が大きく縮まりました。それでも、年間授業料や学校納付金などは大きく差が開きました。

ただ、高校は公立でも義務教育ではないため授業料がかかってきますが、国の支援金制度が充実しています。
2010年にスタートした「高等学校等就学支援金制度」によって、ざっくりではありますが、世帯年収約910万円未満の家庭であれは、11万8,800円は支給されます。
2020年4月からは、制度の上限金額が大きく変わり、世帯年収約590万円未満の家庭においては、年間39万6,000円が支給されるようになりました。
各種支援を受けた場合の大学までの学費
ここまでは、教育費の平均額を見てきましたが、ここからは「教育費の最低限の金額」をシミュレーションしたいと思います。
条件はすべて公立に通い、幼稚園は保育無償化、小中学校は就学援助を受け、高校では就学支援金制度を活用した場合です。そして、学外活動(習い事)を一切しないと想定します。
年間費用の最低金額比較
区分 | 公立園 | 保育無償化 | 公立小 | 就学援助額 | 公立中学 | 就学援助額 | 公立高校 | 就学支援金額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学費 | 120,738 | 54,532 (-66,206) | 63,102 | 31,510 (-31,592) | 138,961 | -2,852 (-141,813) | 280,487 | 161,687 (-118,800) |
給食費 | 19,014 | 30,880 (実費) | 43,728 | 0 | 42,945 | 0 | ー | ー |
学外活動 | 83,895 | 0 | 214,451 | 0 | 306,491 | 0 | 176,893 | 0 |
合計 | 223,647 | 85,412 | 321,281 | 31,510 | 488,397 | -2,852 | 457,380 | 161,687 |
中学校においては、公立中学の学費の平均金額よりも、就学援助の平均金額の方が上回りました。
習い事や部活などの学外活動を一切しないという場合に限っては、就学援助を受けることでプラス収支になります。
大学に行くまでにかかる学費最低総額
区分 | 公立 | 支援金額を差し引いた総額 | 差額 |
---|---|---|---|
幼稚園 | 64万9,088円 | 25万6,236円 | 39万2,852円 |
小学校 | 192万6,809円 | 18万9,060円 | 173万7,749円 |
中学校 | 146万2,113円 | ‐8,556円 | 147万669円 |
高校 | 137万2,072円 | 48万5,061円 | 88万7,011円 |
合計金額 | 541万82円 | 92万1,801円 | 448万8,281円 |
あくまで、平均額の計算上ですが、養育費をのぞいた学費だけの試算で言うと、最低100万円程度で高校卒業までの費用を賄えます。

さすがに全く学校外活動をしないというところまで誰もが徹底できるわけではありませんので、単純に援助が受けられる金額を総額から引くことで、援助後の学費総額を見積もることができます。
制度で受けられる支援金相当額の平均
区分 | 支援相当金額 |
---|---|
幼稚園 | 92万5,200円 |
小学校 | 37万9,110円+給食費無料(26万2,368円相当) |
中学校 | 42万5,440円+給食費無料(12万8,835円相当) |
高校 | 35万6,400円 |
合計金額 | 208万6,150円(247万7,353円相当) |
すべて公立コースで約540万円、うち給食費が40万円、支援金額が200万円とすると、差額300万円。
この300万円の学費から最低学費100万円を差し引いた200万円程度が、学外活動費用、つまり習い事や塾代と言うことです。
逆に言えば、塾や習い事を上手にコントロールすることで、200万円分を上限として教育費の総額を引き下げることが十分可能だということです。
まとめ
- 子供が大学を卒業するまでの教育費の総額平均は、800万円から2400万円。
- そのうち、大学に入るまでにかかる金額の総額平均は、540万から1800万円。
- 大学にかかる費用平均は、250万円から2300万円で進路による幅が大きい。
- そのうち、習い事などの学外費用にかかっている費用平均は、200万円。
- 高校まで公的な援助を受けた場合に受けられる費用換算額は、240万円相当。
これらを踏まえ、私立を選ぶか公立を選ぶか、また大学に進学するかどうかの教育計画を十分に立てる必要があります。
教育計画と目安となる金額が算出できたら、教育費を貯めていかなくてはいけませんね!
教育費を上手に貯めていく方法は、こちらの記事の最後にまとめました。

教育費は、その選択によって振れ幅がかなり大きい費用です!計画と準備がとっても大事ですね♡
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