【就学援助制度】をご存じでしょうか?小中学生にかかる費用を援助してもらえるこの制度、年収が600万円以下なら対象になる可能性があります!
小中学校は義務教育なので、公立に通えば教育費は無料だと思っていませんか?
実は、小学校や中学校は公立に通っても、結構なお金がかかります。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」のデータからも、小学校では6年間で約200万円、中学校は3年間で約150万円もの教育費が必要となっていることがわかります。
教育費 | 養育費 | |
---|---|---|
公立小学校 | 192万円7,686 | 519万5,964円 |
公立中学 | 146万5,191円 | 330万4,650円 |
うそ~!そんなにかかるなんて知らなかったわ!
確かに、給食費や、体操服、絵具セットやピアニカ、校外学習の費用とか、義務教育とはいえ、なんだかんだお金がかかっているわよね、、、
そんな、小中学校でかかる費用を援助してくれる制度が「就学援助制度」です。
給食費の免除や、学用品代の支給など、各地方自治体が主導で実施されている制度です。
でもそれって、シングルマザーとか、住民税非課税世帯だけが対象の制度じゃなかったっけ?
もし対象だったとしても、申請したら周りに低所得がばれたりしそうで、なんだか嫌じゃない?気が引けるわ、、、
確かに、シングルマザーや住民税非課税世帯は制度の対象ですが、各自治体によって家族の人数ごとに対象の所得を設定しているため、住民税課税世帯でも、子供を2人3人と育てている家庭では、十分対象になる可能性があります。
国が用意してくれている制度を利用することは、決して悪いことでも、恥ずかしいことではありません。
昨今のコロナの影響で、職を失ったり、パートのシフトが削られたり、転職を余儀なくされたり、各家庭によって様々な事情があります。
そんな中でも、国の宝である子供たちを守るために国がこういった制度を備えているので、対象になる場合は、「権利」としてありがたく恩恵を受け取っていいと思います。
定める基準を満たしているということは、不正受給でもなければ、ずるいことでもありません。
もちろん、制度的なデメリットだって何もないのです。
就学援助を分かりやすく説明
就学援助は、学校教育法第19条「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」との定めに準じて実施されている制度です。
要保護者と準要保護者に対して、義務教育の円滑な実施を目的として、「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」「学校給食法」「学校保健安全法」等に基づいて必要な援助を行っています。
要保護者 | 生活保護法第6条第2項に規定する要保護者 |
準要保護者 | 市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者【認定基準は各市町村が規定】 |
「準要保護者」の基準は、各市区町村によって異なりますが、生活保護基準額の1.3倍程度を基準としている自治体が多いようです。
就学援助の対象になるもの
就学援助制度の対象になる補助品目には、下記のようなものがあります。
給食費をはじめ、クラブ活動も含めて学校にかかるほぼすべての品目が対象になっているのね!
これだけ援助してもらえれば、子供が3人の我が家はかなり家計が楽になると思う!
このように、学校教育にかかるあらゆる費用を賄ってくれるこの就学援助制度、返還の義務もありませんので、受ける側のデメリットは何もありません。
就学援助でもらえる金額
就学援助の方法は、各市区町村によって様々。
たいていはお金が定額振り込まれる形の援助ですが、「実費支給」「現物支給」それらの併用などのスタイルがあるようです。
令和元年における、援助方法と単価は下記の通りです。
でもさすがに、小学校の新入学の学用品費が5万円ではキツくない?最近のランドセルって、10万円以上するもの!
私は「ラン活」反対派です。本当にランドセルって10万円以上するものが必要だと思っていますか?高いことに対するメリット・デメリットを真剣に考えていますか?本来2万円も出せば、上質なランドセルが手に入りますよ!
就学援助の対象は非課税世帯やシンママだけじゃない
正確に表現すると「シングルマザーだから援助対象」と言うのは間違いです。
上記が、就学援助を受けられる対象です。
そして、実は「要保護者」よりも③の「準要保護者」の割合が断トツに多いのです!
就学援助は年収600万円台以下なら対象の可能性がある
所得基準は、各市区町村によって異なりますが、令和3年の東京都港区が発表しているモデルケースを参照してみましょう。
ここで注目してほしいのは、基準が「収入」ではなく「所得」であることです。
上記の所得水準になるように、収入を逆算してみました。
所得額 | 収入額 |
---|---|
300万円 | 380万円 |
356万円 | 500万円 |
436万円 | 600万円 |
484万円 | 660万円 |
538万円 | 720万円 |
家族構成によって、年収600万円台、700万円台でも「就学援助」の対象になるのね!
上記は東京港区の例ですが、各市区町村によって、年収が600万円台や700万円台であっても、家族構成によって十分支援の対象になります。
決して、「貧困家庭」だけを特別に支援する制度ではないということです。
就学援助の申請方法
各市区町村によって、必要書類の配布方法は異なるようです。
私の住んでいる地域では、児童全員に配布される形式でした。
希望者のみに配布する自治体や、教育委員会に自分で取り寄せたり、ホームページから自分でダウンロードして申請する自治体もあるようです。
申請用紙を手に入れたら、学校、または指定の窓口宛に用紙を提出するだけです。
対象になるか不明な場合でも、申請用紙を出して所得審査をしてもらいましょう。
このような制度は、自分から手を挙げて行動しないと、もらえる権利があるお金でも、もらえない仕組みになっています。
何もしない事こそがデメリットです!
就学援助を受給するデメリットは?
就学援助制度にデメリットはないとさんざんお伝えしてきましたが、唯一のデメリットは「心理的なハードル」です。
- 国から援助を受けるなんて恥ずかしい
- 周りにばれたら低所得だと思われるのが辛い
- 人に知られて、子供が差別されるのが怖い
- 税金から支援されるのが申し訳ない
こういった羞恥心やプライド、申し訳ないという気持ちで、受給したくても申し込めない人も多いのがデメリットです。
国から支援を受けることをどうとらえるかは、個人によるところが大きいので、対象だからと言って必ずしも申し込む必要はありません。
ただ、生活が苦しい・家計が苦しいという中で、プライドのために子供に不自由を強いながらやせ我慢するようなものでもありません。
実は、私自身4人兄弟の貧困家庭で育ちました。両親のプライドが高く、こういった制度も利用しなかったため、ランドセルを買ってもらえず、辛い思いをしました、、、
就学援助の受給が周りにばれる可能性は?
私も両親もそうでしたが、就学援助制度に抵抗のある人の多くは「周りにばれるのではないか」という不安が大きいようです。
心無いことを言われたり噂をされたり、子供がいじめられるなどのリスクを考えると、周りにばれることを警戒して支援に申し込めないのです。
そういった心情もよく理解できますが、自分が口外しない限りは、ばれる可能性は非常に低いのが現状です。
プライバシーが尊重される昨今、書類を封筒に入れて学校とやり取りをする、教育委員会から直接自宅に郵送されるなど、各自治体の工夫によって、個人情報として厳重に扱われています。
情報を知っている学校の先生や事務員さんが、わざわざ子供たちの前で「この子は援助を受けているから、給食費を払っていないから」などと公言してばれることも、まずありえません。
自分が誰かに話したりしない限り、ばれてうわさが広がったり、差別を受けたりするようなことは考えられないでしょう。
誰がどんな風に思うかわからないデリケートな問題だから、心を許しているからと言って、うかつにママ友に話したりしてはいけないのね!
支援を受けるのは悪いことではありませんが、快く思わない人がいるのも事実です。わざわざ自分から口外してばらす必要はありません。
就学援助を受けるのは恥ずかしいことではない
こうした国の制度を受けることは決して恥ずかしいことではありません。
私も、就学援助ではないですが、子供の医療器具の補助制度であったり、NISA制度であったり、活用できる制度は積極的に活用しています。
「制度の対象になる=受ける権利がある」
と認識して、堂々と受給しましょう。
国が定めた基準を満たしているのだから、不正受給でもなんでもなく、権利なのです!
確かに、税金を多く払う一方で、何の恩恵もあずかれない家計の方からすると、腹立たしく思われるかもしれません。
「お金が払えないのに子供を産むな!」というような過激な批判も聞こえてきます。
ただ、今は制度の恩恵にあずかっている立場であっても、私たちも結婚・出産するまでは、働いてたくさんの税金を払ってきました。
子供たちもいずれ独立して働きだせば、社会の担い手になります。
少子高齢化の中、子供を産まない選択をする夫婦も増える中で、子供を1人でも多く生んで育てること自体が、大きな社会貢献です。
就学援助を受けることは全く恥ずかしいことではないのです。
就学援助は子供のためにある
最後に、忘れてはいけないのは、就学援助制度は子供のためにあるということです。
私自身、貧困家庭であるにもかかわらず、親が支援を受けなかったためにランドセルを買ってもらえないという辛い経験をしました。
本来、就学援助制度は子供がこういった辛い思いをしなくても済むように用意されている制度なのです。
就学支援制度の対象ではあるものの、外聞やプライドのせいで申請ができないのであれば、子供にかかる費用をしっかりと見直して、楽しく学校に通える環境を親自身がしっかり整えなくてはいけませんね。
それでは、今後もママのためのお金の講座をお楽しみください^^
就学援助は受けたくないけど、学用品は少しでも安く購入したいという方は、上記の記事が参考になりますよ!
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