【積立NISA逝く】SNSで絶賛拡散中のデマに金融庁が注意喚起!含み益の課税検討は積立NISAには無関係です!

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しょう君のママ
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「積立NISA」も課税対象になるというデマに振り回されて、解約しないようにご注意を!

Twitterで話題になっている【積立NISA逝く】という投稿。

リツイートされるだけにとどまらず、ネット掲示板にも「【積立NISA逝く】金融庁さん、個人投資家の含み益に課税を検討してしまう」というスレッドが立ち上ったほど、ちょっとした騒動が起こっています。

これは、NISAを推進している著者にとって、聞き捨てならないニュースです!

【積立NISA逝く】金融庁、なんと「含み益」に課税検討へ

ちょっと待って!最近積立NISAを始めたばかりなのに課税されるの?

いえいえ!NISAに課税されることはありません!

金融庁からも弁護士ドットコムを通して、「(積立NISAには)全く関係ありません。今回はデリバティブ取引に限定した話です」とコメントを出して注意喚起しているくらいです。
出典:弁護士ドットコムトピックス

とりあえず、金融庁直々に「関係ない」と言っているから安心だけど、「デリバティブ取引」って何?結局何に課税されるの?

ではなぜこんなツイートが拡散しているのか、色々もやもやだらけの今回の騒動。

【積立NISA逝く】と言うデマがどこから始まったのか、このまま拡散されて信じる人が増えたらどうなるのか?

また、そもそも課税の対象となっている「デリバティブ取引」とは何なのかについて、詳しく解説したいと思います。

▼NISAについての記事はこちら

【積立NISA逝く】の主張とは?

出典:ライフハックチャンネルのスクリーンショット

金融庁が公開した研究会の議事録の内容

ライフハックチャンネルでは、6月上旬に金融庁がホームページで公表した、「金融所得課税の一体化に関する研究会」の議事録の一部の文章を引用して、「含み益に課税検討」というタイトルの根拠としています。

この議事録自体は、令和3年5月10日にオンラインで行われた研究会の「議事要旨」と言う位置づけであり、決定事項でもなんでもありません。

会議の内容は下記の通りです。議事録の中身も出典URLで確認できます。

金融所得課税の一体化に関する過去の経緯や今後の課題等について、事務局より説明。その後、参加者において、金融所得課税の一体化の方向性や、その方向性を踏まえた取り組むべき課題等について、意見交換を行った。

出典:金融庁ホームページ

議事録の内容を見るとわかりますが、この研究会は「金融所得課税の一本化(損益通算)」とそれによって懸念される「租税回避行為」をどう防止するかについての意見交換がその趣旨です。

発信者の勘違いが発端か?

タイトルと冒頭にて、”【積立NISA逝く】と言うデマ”と表現しましたが、どうやら発信者の勘違いが原因であるかもしれません。

有識者の発言の記録から「対象者全員に強制的に課すべき」や、「個人投資家」「分散投資効果」「時価評価課税」などのワードを拾って、金融庁が今押している「NISA」と結び付けて勘違いしてしまった可能性があります。

ただ、この金融庁の研究会の議事録には、一寸たりとも「積立NISA」と言う単語は出てきていません。

勘違いだったのか、意図的に流したデマだったのかはさておき、あまりにもお粗末な解釈であることは否めませんね。

【積立NISA逝く】勘違いの連鎖が危うい

積み立てNISAは実質廃止みたいなものだ iDeCoもいずれ課税されるでしょう 課税されたら手続きが面倒なNISAやiDeCoは投資口座として存在価値がない これから投資する人は特定口座だけつくればいいんじゃないかな

【積立NISA逝く】の発言を受けて、上記のように「NISAの存在価値がない」「(金融庁がNISAを推進していたのは)これが目的だったんだね」「詐欺じゃん」のような意見がネット上に飛び交い、人々の勘違いによる混乱具合がうかがえます。

”課税できるものにどんどん課税する政府”という間違ったイメージが先行してしまい、資産運用にとって有益なはずのNISAの回避や解約が懸念されます。

▼NISA制度について正確な情報はこちら

金融庁「NISAを解約しないで」

ここで、弁護士ドットコムニュースに寄せられている、金融庁担当者の見解をおさらいしてみましょう。

「【積立NISA逝く】のツイートは、私も見ました」

「(積立NISAには)全く関係ありません。今回はデリバティブ取引に限定した話です」

「おそらく金融庁が積立NISAを推進していることと、研究会の議事録で出てきた『時価評価課税』などを結び付けてしまったのでは。繰り返しますが、今回の議論はデリバティブ取引に限定した話で、積立NISAとは全く別の話なので、解約しないでほしい」

出典:弁護士ドットコムニュース

金融庁も、今回のSNS騒動を把握したうえで、NISAと時価評価課税の関係性を全面的に否定しています。

「デリバティブ取引」とは?

金融庁が「今回はデリバティブ取引に限定した話です」と主張している「デリバティブ取引」とはいったい何のことでしょう?

意見交換とは言え、研究会のテーマとなりデリバティブ取引が課税対象として検討されている以上、投資をする人もしない人も、税の知識として理解しておきたいところですね。

デリバティブとは「金融派生商品」

株式や債券、為替などの原資産(げんしさん)から派生した金融商品を指します。

【先物取引】・・・取引時点では、売買の価格と数量などを約束、約束の日で実際の売買を行う
株価指数先物・FX取引・商品先物

【オプション取引】・・・約束された日に実際の金融商品を売買する権利を売買すること
金利オプション・通貨オプション

【スワップ取引】・・・同等の価値があるキャッシュフローを交換する取引
金利スワップ・通貨スワップ・クレジットデフォルトスワップ

※現在、金融商品で損益通算が認められている範囲は、上場株式や特定公社債などで、「デリバティブ取引」は対象外

デリバティブ取引と研究会の趣旨

現在、金融商品で損益通算が認められていない「デリバティブ取引」について、金融庁は今後損益通算の対象にしたいと考えています。

デリバティブ取引を損益通算に含めることは、個人投資家が様々な金融商品に分散投資してリスクヘッジできるようになる一方で、租税を回避する抜け道にもなり得ます

デリバティブ取引(「ストラドル取引」という手法)では、意図的に損益を出して租税を回避することが可能なため、時価評価課税を導入し、含み益にも課税することで租税回避を防げると研究会で意見が交わされました。

これが、上記の「金融所得課税の一体化に関する研究会」の議事録が指し示していることです。

「ストラドル取引」と租税回避をざっくり解説

デリバティブ取引には、同一の決済月で同一の価格でコールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)を組み合わせる戦略があります。

これを「ストラドル取引」と言い、相反する動きをする「買い」と「売り」を両方取り引きすることで、相場の方向性に関係なく、反する一方の損失を補填して、もう一方で利益を出す仕組みです。

相場が上がるか下がるかは関係なく、値動きが大きいほど利益を出し、値動きが小さければ損失が出ます。

この「ストラドル取引」によって、損が出た方だけを売却して損を確定して、その他の取引での譲渡益と損益通算して租税を回避することが懸念されています。

ストラドル取引によって、一方の利益で損失がカバーできているため、実質的には損が出ていないにもかかわらず、租税だけ回避できることになります。

米国では「時価評価課税」は既に導入されています。

課税出来そうなものに片っ端から課税するという話ではなく、要は富裕層の租税回避をどう防いでいくかという話だったんですね。

まとめ

  • 【積立NISA逝く】は完全にデマである
  • 積立NISAが「時価評価課税」の対象になることは無い
  • 「金融所得課税の一体化に関する研究会」と積立NISAは無関係
  • 「金融所得課税の一体化に関する研究会」はデリバティブ取引に限定した議論
  • NISA制度自体は2024年に改正されるが、課税は含まれていない

NISAや金融取引についてしっかり理解して、デマ情報に踊らされないようにしましょう。

金融庁が言うように、慌ててNISAの取引を解約したりしないようにしましょうね!

しょう君のママ
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