【強制貯蓄20兆円】我が家の強制貯蓄額とコロナ後の経済の期待をメディア系人間なりに考察してみた

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しょう君のママ
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『強制貯蓄』!皆さんのご家庭はどうですか?

6日10日の報道ステーションで、西村康稔経済再生担当大臣が

「20兆円強の追加的な貯蓄が残っている。感染拡大が収まってくれば、これまで我慢していた分が出てくる。個人消費が回復することが期待される」

と述べ、政府が20兆円の『強制貯蓄』に期待を寄せているとのことを言っていましたね。

20兆円の強制貯蓄?ポストコロナの起爆剤?なんだか景気が回復の見込みを見せているようで、良いニュースなんじゃないの?

ニュースを見て、こんな風に期待した人も多いと思います。

ただ、マスメディアに「意図」「操作」はつきもので、手放しに喜べるかどうかは検証の余地があります。

そこで、大学でマスコミュニケーション学を専攻し、現役のWEBディレクターとして「情報を操作する側」である生粋のメディア人間の著者が、このニュースについて考察してみました。

ポストコロナの起爆剤?20兆円の『強制貯蓄』の実態(2021年6月10日)

ニュース記事の概要

そもそも『強制貯蓄』って何?

強制貯蓄とは、このニュースにおいては「飲食や旅行などで本来使われるはずだったお金が、半ば強制的に貯蓄に回されたもの」と説明されています。

その金額は、日銀の調べによると約20兆円に上るということです。

出典:ANNnews YouTube画面キャプチャ―

『強制貯蓄』の辞書的な意味を調べてみた

物価が上昇するとき,人々の貨幣所得の上昇がこれに追いつかず,その結果実質所得と実質消費が減少することから生じる非自発的貯蓄を指す。したがって政府が法律等で国民に貯蓄を強制する場合は含まれない。所得から消費を差し引いたものが貯蓄であるが,それは通常,人々が自分の意思で進んで行う自発的貯蓄という形をとる。この貯蓄は金融市場(銀行等の金融機関)を通じて企業に貸し付けられ,産業の資本蓄積に役立つ。これに対して強制貯蓄は,物価騰貴を通じて実質所得が減少した結果やむをえず消費を切りつめることから生じる現象である。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版

貯蓄者の自由意志によってなされる自発的貯蓄や、法律または命令によって権力的に強制される強権的貯蓄(第二次世界大戦中、日本政府が国民に国債を事実上強制的に割り当てたことなどが好例)と異なり、経済的理由とくに物価上昇によって生み出される貯蓄をいう。たとえば投資資金が信用創造によって生み出される場合、経済が完全雇用に近い状態であると、需要が供給を上回って物価は上昇する。消費者は、前と同じ所得ではより少ない消費財しか買えなくなるから、社会全体としてみると、それだけ消費が切り詰められ、貯蓄が発生することになる。これが強制貯蓄であり、シュンペーター、ハイエクなどが資本形成の一過程として重視した。

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

辞書では「物価上昇」を主な原因に置いている点のニュアンスが相違しますが、意志に反して生み出される貯蓄と言う意味で、今回のニュースでは使われていますね。

ニュースに出てきた一般人の声

次に、ニュースに出てきた「街の人」の声を見ていきましょう。

“貯蓄額増”30代会社員:「やはり貯金は増えた。出費が減ったというのが大きい。会社での飲み会がなくなったので、おのずと外食が減ってくる。すると出費が減る」

“貯蓄額増”主婦:「(Q.増えたのはなぜ?)外出歩かなくなったから。洋服もそんなに買わないし、外食もしないし、遊びにも…」

“貯蓄額減”50代サービス業:「サービス業なので、お客さんが少なくなっている状況で、支出よりも収入が減ってきて、それが変化して正直苦しくなっている」

“貯蓄額変わらず”30代会社員:「(Q.コロナ前と比べて増えたか?)貯金はあまり変わってない。コロナ明けたら旅行行ったりしたいですが、今も普通に使っているので」

“貯蓄額変わらず”20代サービス業:「サービス業なんで、いつなくなってもおかしくない。貯蓄しておかないと」

出典:テレ朝news 経済記事より

この「街の人」の取材を行った場所は「東京駅」と「品川駅」のようで、どのくらいの人に取材して、この5組に絞ったのかも定かではありません。

また、登場させた順番も時系列ではないようで、「東京駅午後5時半」→「品川駅午後3時半」→「品川駅午後3時半」→「品川駅午後3時半」→(午後4時半:TV局でのエコノミストへのインタビュー)→「場所・時間共に不明」となっています。

本当にポストコロナの起爆剤になるのか?

西村康稔経済再生担当大臣によると、

「20兆円強の追加的な貯蓄が残っている。感染拡大が収まってくれば、これまで我慢していた分が出てくる。個人消費が回復することが期待される」

とのことですが、エコノミストの崔真淑さんによると

「ワクチンが早く広まった国は、強制貯蓄やお金がどんどん回りだしている。(Q.強制貯蓄20兆円は使われるのか?)もしかしたら、最初の1〜2カ月は『飲みにも行ける』『旅行にも行ける』ことで、一気にお金を使う人が出てくるかもしれないが、長期にわたってお金を使い続けるのかはまだ分からない」

「このままだと、20兆円の貯蓄で終わる可能性はゼロではない。GoToキャンペーンのように消費喚起策を行うであるとか、例えば『何年間は増税しないよ』とか、増税したとしても復興税のように『あくまでも期限付きのものだよ』とか、そういったアナウンスをする必要があるのかなと」
出典:テレ朝news 経済記事より

と、必ずしも20兆円の『強制貯蓄』が無条件に消費に回るとは限らないことを示唆しています。

メディア人間による考察

ここまでは、言いたいことを我慢して淡々とニュースの概要を説明してきました。

確かに西村大臣の言うように、コロナで外食や旅行に行く機会が無くなり、その分の予算が『強制貯蓄』されている層も一定数いることは確かです。

ただ、我が家の『強制貯蓄』を正直に明かすと0円です。

皆さんのご家庭はどうでしょうか?

見え隠れする情報操作の意図

最初に、マスメディアに「意図」「操作」はつきものと述べました。

これは、私が大学時代にマスコミュニケーション学や広告学を学んで衝撃を受けたことの1つですが、確かな事実です。

メディアは、何かしらのシナリオをもって、誰かしら(主にスポンサー)の意図に影響された情報を発信しています。

私が感じ取った情報操作の意図は

  • 感染拡大はこれから収まってくるから安心して消費できるよ
  • 実はみんな、思ってるよりお金たまってるよ?と言う暗示
  • これまで我慢していた消費があるよね?全部やっちゃいなよ!と言う煽り
  • 皆これからお金使うよ、あなたももちろん使うよね?という誘導

このようなイメージを、反対意見や中立意見を程よく織り交ぜながら、人々に刷り込んで、外食や旅行に無意識に向かわせることだと思います。

それ自体が悪いことだというのではなく、このような意図をもった情報の見せ方をしていることを認識する必要があるということです。

お金に余裕がある人は、もちろん経済のためにどんどん使ったらいいと思いますが、外食や旅行を差し控えたことで『強制貯蓄』ができている(はず)と思い込んで、無計画に散財するのはメディアの思うつぼです!

うん、確かに、、、。外食は減ったけど、ウーバーイーツとか利用してるから、かえって食費は上がってるかも。うちも『強制貯蓄』と言うほどの物はできてないわ。

そもそも一般の声を反映できているのか?

ニュースで紹介されていた「街の人」の声も気になります。

まさか”やらせ”とまでは言いませんが、インタビューをした中で、制作意図にあっている部分のみを切り取って編集していることは間違いありません。

ニュース番組では仕方ないことですが、東京駅と品川駅で5組限定のインタビューに、民意が反映されているはずもなく、あたかも日本全体の様々な声のように紹介されている点には疑問を持つべきですね。

飲食業や風俗業、リストラされた人、非正規雇用で実質的解雇状態の人など、一番苦しんでいる層が無視されている感が否めません。

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確かに、このインタビューで一番苦しんでいる層の現状を聞いたら、財布のひもをぎゅっと締めてしまうのが人間心理だものね!

母数の大きいちゃんとした調査でない限り国全体の動向とはとらえず、「意図的に選ばれた個人の感想」と認識して、感情を引っ張られないことが大切です。

逆に『強制貯蓄』が無いことに焦る必要も全くありません。

見通しが甘すぎる!日本人の気質も考えて

ニュースの中で、エコノミストの崔真淑さんが「ワクチンが早く広まった国は、強制貯蓄やお金がどんどん回りだしている。」としています。

確かに、アメリカを例に見てみると、ワクチン接種が進み飲食店の規制も緩和され、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)による最新の経済報告では「景気回復のペースが加速している」とされています。

ただその要因に、3度の給付金の支給や、失業保険給付上乗せが失業者の復帰意欲をそぐなど、バラマキ政策による「雇用なき回復」があることも忘れてはいけません。

その背景や、給付金の4~6割が貯蓄に回ったとされている日本人の国民性を加味しても、強制貯蓄20兆円が一気に消費に回るとは考え難いと思います。

そもそも、その20兆円の内訳が、どういった層に何パーセント占めるのかはわかりません。

貧富の差を広げて終わりではないか?

平均賃金や、平均貯金額などのデータを見る際に気をつけなければならないのは、平均をとてつもなく上げるアッパー層がいるということ。

強制貯蓄20兆円がまんべんなく日本中に散らばっているというよりも、ある一部の層がものすごくたくさんの強制貯蓄を持っていることで、この数値になっていると私は予想しています。

その理由は、昨今の好調すぎる株価にあります。

今、株式投資の世界は空前の好景気です。私が運用している投資利回りも、なんと18%を越えました。

昨年の利回りは11%だったので、利益は更に加速しています。

株式投資の利回りは「3~5%」が平均と言われているので、投資を知らない人でもどれだけ好景気なのかお分かりいただけるでしょう。

今、投資資産を持っている人はかなり儲かっているはずです。

資産が資産を生むので、労働対価(=経済活動)とは別のところで、お金が膨らんでいるのです。

「富」側の人間になるにはどうしたらいい?

コロナのワクチンの接種率が上がり、もしも感染の勢いが衰えたら?(そんな日が近々来るのか、更に感染が拡大するという意見もあり不明ですが、、、)

「友達と飲みにも行ける!」「旅行にも行ける!」と、浮かれてお金を使う人が出てくるかもしれませんが、もし仮に『強制貯蓄』を持っていてもそんな使い方をしたら、「富」側の人間にはなれません。

トマ・ピケティの「不等式:r>g」

これは、富む者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなるデータを式にしたものです。

ピケティの不等式「r>g」とは?
  • r:「資本収益率」を表す
  • g:「経済成長率」を表す
  • 経済成長よりも投資で儲かるスピードの方が早い
  • 給料よりも投資の方がお金の成長が大きい
  • 株式や不動産への投資は、元手を持っている富裕層にしかできない

つまり、「富」側の人間になりたい人にとって『強制貯蓄』があるなら、今がその好機であるということです!

以上が、私の個人的なこのニュースの考察です。

結局、投資が最強だという結論で締めくくりたいと思います

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