「ママ友たちがみんな中学受験するっていうから、うちも中学受験迷っています、、、、ただお金が無くて」
と、あるママさんからSNSを通じて個人的に相談を受けました。
まだお子さんは小学2年生ですが、ママ友の間では中学受験で盛り上がっていて、全国模試などを受けたり学習教室に入れたりという状況で、お金がどんどん飛んでいく付き合いに不安を覚えているという相談者さん。
この相談者さんは、ママ友たちが言う私立中学のメリットに魅力を感じているものの、デメリットや費用などの情報がなく、このまま流されていて大丈夫かと、筆者にご相談を頂きました。
このご相談の回答のために調査した、最新の「私立中学の受験費用」「私立中学にかかる学費」といった費用の詳細、そして費用だけでは見えない私立中学受験のメリット・デメリットについて、この記事で共有したいと思います。
「中学受験するとどうなるんだろう?」
とぼんやり考えている方にとっても、中立的な目線から中学受験のことが丸っとわかるコンテンツになっていますので、お役に立てば幸いです。
私立中学受験から入学までにかかる費用
中学受験の費用は軽く100万円越え
「中学受験は課金ゲーム」とも揶揄されるくらいお金がかかると言われています。
ですので、最新の中学受験の費用についてはしっかり押さえていきましょう。
まずは、私立中学受験~入学までにかかる費用を下記にまとめてみました。
受験料
中学入試の受験料は、一般的には受験校数分、同一校を複数回受験すればその分の受験料が必要となります。
私立中学で20,000円〜30,000円、国立5,000円、公立2,200円が受験料の相場です。
同一校に複数受験することで割引や、合格後の返還などがある場合もあるようなので、受験する学校の制度を把握しておきましょう。
受験料だけで20万〜30万円を用意して受験に備えるというのが相場のようです。
入学手続き時納入金
合格が決まったら、入学手続き時納入金を納めることになります。
延納制度があり、一部金を納入することで入学手続きを受け付ける学校も増えていますが、延納期限が設定されているので注意が必要です。
初年度納入金
初年度納入金は学校により含まれる項目がさまざまです。
授業料のほかに何が含まれているのか、納入方法は、年度始め一括払いなのか、分割払いができるのかなど、募集要項で確認する必要があります。
私立中学では、入学金や諸経費、授業料を合わせると、約100万円は必要です。
令和3年の東京都の私立中学の平均の初年度納入金の平均は970,176円でした。
さらに任意で寄付金が必要になる場合もありますので要注意です。
塾に通う場合は、別途200万~300万円
中学受験には、塾・家庭教師・模擬試験の受験料などの教育費用も必要となってきます。
中学の受験問題は、年々問題が難しく複雑になっていると言われており、塾無しで難関中学の受験は難しくなっています。
塾通いの目安は小学4年生からと言われているので、3年間の通塾の費用を合計すると200~300万円かかると言われています。

わーお!最低でも100万円、塾も小さいうちから通わせるとなると300~500万円くらいは予算として考えておかなくてはいけないのね!
私立中学の学費はいくら?お金がないと難しい?
次に、私立中学校と公立中学校の学費についてです。
文部省の調査データを元に、下記の表に比較してまとめてみました。
区分 | 公立 | 私立 | 公立と私立の差額 |
---|---|---|---|
授業料 | 0円 | 42万8,574円 | 42万8,574円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 2万6,217円 | 8万2,578円 | 5万6,361円 |
学校納付金等 | 1万6,758円 | 30万5,130円 | 28万8,372円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 2万5,413円 | 5万198円 | 2万4,785円 |
教科外活動費 | 2万9,308円 | 5万5,796円 | 2万6,488円 |
通学関係費 | 3万7,666円 | 14万765円 | 10万3,099円 |
その他 | 3,599円 | 8,397円 | 4,798円 |
学校教育費合計 | 13万8,961円 | 107万1,438円 | 93万2,477円 |
中学校の私立と公立は、授業料や通学関係費の差が大きいほかに、他のすべての費用も平均的に倍額ほど違います。
全体でみると、その費用は約8倍もの開きがありました。

中学受験をし、そこから私立の中学校に通うというのは、とても費用がかかるということがわかります。
安い費用ではないからこそ、そのメリットとのコスパもよく検討する必要がありますね。
中学受験のメリット・デメリット
ここまでは中学受験の費用面を見てきました。
これだけ見るとかなり経済的な負担が大きいのがわかります。
しかし、それ以上のメリットが得られるからこそ中学受験をするご家庭も多いのです。
ということでここからは、中学受験をして私立中学に通うメリットとデメリットをご紹介します。
中学受験のメリット
学校ごとの特色で子供の長所と可能性を伸ばすことができる
私立中学校には、公立中学校にはないような特色があります。
英語に力を入れていて在学中に留学ができる学校であったり、IT教育に力を入れていたり、スポーツに力を入れていたり、そういった特色がお子さんの希望とマッチすれば、中学生のうちから好きなことで長所を伸ばしていく事ができます。
そのような経験は、すべての教科を均等に教育する公立中学ではなかなか得ることのできないものです。
大学進学の勉強時間がしっかり確保できる
中高一貫の私立の進学校では、中1~高2の間に高校3年までの勉強を終わらせる学校が多いと言われています。
それは、高校3年の1年間をみっちり受験勉強に充てるためです。
そのため授業の進度は早くなり、授業時間も長めになりますが、大学受験には非常に有利と言われる所以です。
単純に学力・知識が身に付く
中学受験は年々難しくなっていると言われています。
それは、優秀うな生徒が欲しい学校側と、多くの生徒を有名校に合格させたい塾とのイタチごっこで、どんどん問題が難しくなり、塾側はどんどんその解法やノウハウを生徒に詰め込みます。
20年前の難関校の問題が今の低偏差値行の問題になっていると言われるくらいですので、そんな難しく莫大な勉強量をこなしたというだけで、中学受験をしなかった人よりも、学力や知識量は数段高くなります。
厳しい受験戦争を勝ち抜いた自信がつく
友だちが遊んでいる間に、一生懸命勉強し、難しい試験をこなして合格を手にするというプロセスは、中学受験をした人にしか得られない自信を与えてくれます。
努力が報われるという自信や、大変な勉強をやり抜いたという自負は、今後待ち受ける大学受験や就職試験の大きな糧となるはずです。

国際色豊かな学校で、語学力を身につけてくれたら、、、と思うとやっぱり中学受験はマストよね!
中学受験のデメリット
経済的な負担が大きい
中学受験の最も大きなデメリットは、両親にかかる経済的な負担です。
上記にデータで示した通り、公立中学の8倍の費用が掛かるので、兄弟姉妹を育てている家庭はなおさら、中学受験の金銭的負担は大きくなります。
私立中学には、高校や大学の無償化のような制度はなく、公的な支援は就学援助くらいです。
年収や子供の人数によっては、全く何の補助もなく全額自己負担になるので、受験費用100万、塾代300万、学費など300万円、トータルで1人700万円はかかる計算です。
親の負担が大きい
中学受験は、高校受験や大学受験とは違い、親が主導となってすすめていく必要があります。
塾選びや学校選び、宿題の手助けや塾への送迎、受験の出願や、受験スケジュールの管理など、親がやらなくてはいけない仕事が山ほどあります。
金銭的な負担だけでなく、作業的な負担や、子供のメンタルの管理なども親の負担が大きい部分になります。
友人関係の一からの構築が必要
私立中学に上がるということは、地元の友人がいない状態で学校生活をスタートさせるということです。
友人関係を一から構築するということを楽しめるタイプのお子さんは苦にならないでしょうが、やはり多くのお子さんにとって、精神的に負荷がかかるのは間違いありません。
勉強量が多く遊ぶ時間が無くなる
中高一貫の私立の進学校のメリットとして、中1~高2の間に高校3年までの勉強を終わらせ、高3では大学受験の勉強に徹するということを挙げましたが、そのカラクリは、授業進度の速さと、長時間授業です。
私立の中学では、8時間授業や土曜日登校は珍しくありません。
6年間のカリキュラムを5年で終わらせようというのですから、多くの時間を割いてどんどん詰め込まれるのは当然の結果です。
ただでさえ、地元を離れて遠くに通学していて通学にも時間がかかるうえに、授業時間も長くなること、課題も多くなりがちなことで、公立の中学生に比べて、遊ぶ時間が少なくなるのは必須です。
そんな生活についていけなくなりドロップアウトしてしまう生徒も一定数存在します。
大学受験の合格が保証されているわけではない
大学の付属校に入学できたからと言って、中学と高校の勉強の気を抜いてしまうと、エスカレーター式に内部進学ができない可能性もあります。
レベルの高い中学に入学して、受験勉強を頑張ったとしても、大学受験の合格が保証されているわけではないことを認識する必要があります。
私立中学に入ってからの生活が大変
思春期真っただ中の中学生。
勉強、環境、友人関係、様々な理由で心身に不調をきたしてしまう場合もあり、せっかくレベルの高い私立中学に入っても中学生活に耐えられなくなってしまうこともあります。
様々な理由で、中学受験が無意味になってしまった人たちは本当に多くいます。
そんな人たちの体験談をまとめましたので、転ばぬ先の杖としてご活用いただけたらと思います。
「お金がない」で中学受験をあきらめなくていい理由
こうして、中学受験について紐解いていくと、「親の財力」がモノを言うことをひしひしと感じてしまいます。
兄弟が多かったり、お金がない低所得家庭だと、最初からもう中学受験は無理だと諦めがちです。
しかし、実は低所得の家庭こそ、中学受験をあきらめなくていいかもしれません。
それは「高校の無償化制度」です。
本来、高校でかかる費用が無料になる分、中学校に予算を回すという考えであれば、教育費として貯めていた貯金や学資保険を中学受験に利用します。
そうすることで、高校受験をせずに、大学受験に注力でき、国公立大学に進学できれば、トータルで見た教育費用は低く抑えられます。

なるほど、中高は私立で、大学を安い国公立に行くパターンね!高校の費用が無償化になれば、中学の費用だけ耐えれば済むものね!低所得層ほど、実はいい戦略なのかも!

お金が無いからこそ、トータルの教育費を考えて中学受験をするっていう考え方もできるのです。
中学受験についてのおすすめの本
最後に、そんな中学受験についてのお勧めの本を紹介して終わりたいと思います。
何事も、初心者は書籍で体系的に学ぶのが、正しい情報を入手する一番手っ取り早い方法です。
中学受験に少しでも迷いのある方は、専門家の意見や情報を下記の書籍で取り入れてみてはいかがでしょうか?
中学受験は、一人一人の状況や性格・勉強への意欲や志望校への意識でも、得られるものは大きく違います。
また、身も蓋もありませんが親の財力がモノを言うのも確かです。
私立中学と公立中学、どちらにも良い面があり、悪い面もあります。
ただひとつ、「子どもが楽しい学生生活を送れる」と思う選択をしてあげたいものです。
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