「大学無償化はずるい!」
といった批判めいたコメントが、SNSやネット掲示板などでも多く見受けられます。
2020年から始まったこの新しい大学無償化制度は、なぜ「ずるい」と言われるのでしょうか?
- ”ずるい”と言われるほど充実している制度だから
- 受給できる条件が限定的で対象になること自体が”ずるい”から
- 公平性に欠ける制度だから”ずるい”
など様々な解釈があると思いますが、制度自体をよく理解せずに「ずるい」というのはナンセンスですね。
大学の学費負担を大幅に軽減してくれるこの「高等教育の修学支援新制度(大学無償化)」ですが、2025年4月の大改正を経て、2026年現在は「子ども3人以上の多子世帯は所得制限なし」の新制度が完全にスタートしています。
そこで今回は、子育て世代のママだけでなく、制度を良く知らないままなんとなく「ずるい」と思っている方に向けて、大学無償化( 高等教育の修学支援新制度 )についての最新情報を徹底解説したいと思います。

なぜこれほど「ずるい」と言われるのか?2026年最新の受給条件や年収制限の目安とともに、多くのママが見落としがちな「3人同時扶養の罠」など、知っておかないと大損する落とし穴をわかりやすく解説します。
そもそも「大学無償化」とは?2026年現在の最新状況
国の「高等教育の修学支援新制度」は、国公立・私立の大学、短期大学、高等専門学校(高専)、専門学校に通う学生を対象に、「入学金・授業料の減免」と「給付型奨学金の支給」をセットで行う制度です。
制度開始当初は住民税非課税世帯などが対象でしたが、段階的に拡充され、2025年4月からは「多子世帯(子ども3人以上)の所得制限撤廃」という歴史的な大改正が導入され、2026年現在もこのルールで運用されています。
なぜ「ずるい」「不公平」と言われるのか?3つの理由
ネット上で「大学無償化はずるい」と炎上している背景には、制度の不条理な「境界線」があります。
① 子どもが1人〜2人の世帯は「厳しい所得制限」が据え置き
一番の理由は、「子どもが2人以下の世帯」には依然として厳しい年収制限(年収目安約380万円〜600万円未満の壁)が存在する点です。
「子どもが2人でも大学費用は1,000万円近くかかるのに、3人目からしか優遇されないのは不公平だ」という中間層の不満が集中していますね。

うちも、息子2人なので「ずるい!」と言いたい気持ちはものすごくよくわかります!
② 年収が1万円超えただけで「全額自己負担」になる境界線の壁
多子世帯以外の区分(第I〜第IV区分)では、親の年収が基準を「数十円〜数千円」超えただけで、支援がバッサリ打ち切られるか、支援額が大きく減額されます。
必死に働いて年収を上げた世帯ほど損をする構造が「ずるい」と言われる原因の1つとなっています。
③ 私立大学の場合は「完全に無償」にはならない
「無償化」という言葉だけが一人歩きしていますが、国の支援額には上限があります。
国公立大学であればほぼ全額カバーできますが、学費の高い私立大学(特に理系や芸術系)の場合、上限を超えた差額はすべて自己負担になります。
【完全網羅】大学無償化の「区分」と「年収制限」の目安
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)は、保護者の「住民税の課税標準額」などをもとに算定される「生計維持者の所得」によって、支援の度合いが細かく5つの区分に分かれています。
まずは、ご自身がどの区分に該当するか、世帯年収の目安をご確認ください。
世帯年収の目安(両親+本人+中学生の4人家族の場合)
- 多子世帯枠:子ども3人以上を同時に扶養 ➔ 【年収制限なし】
- 第I区分:住民税非課税世帯 ➔ 〜約270万円
- 第II区分:住民税非課税に準ずる世帯 ➔ 〜約300万円
- 第III区分:住民税非課税に準ずる世帯 ➔ 〜約380万円
- 第IV区分:多子世帯(※1)または理工農系(※2) ➔ 〜約600万円
(※1)2025年4月より「子ども3人以上の多子世帯」は年収制限なし(上限枠へ移行)となったため、現在の第IV区分の多子要件は「扶養する子どもが2人の世帯」などが対象となります。
(※2)文系に比べて学費が高い「理工農系」の学部・学科に進学する場合に対象となります。
【学校種別】授業料・入学金の「減免上限額」一覧
国から学校へ直接支払われ、学費から差し引かれる「減免(免除)」の上限額です。
多子世帯枠と第I区分は「満額(100%)」、第II区分は「3分の2」、第III区分は「3分の1」、第IV区分は「4分の1」がそれぞれ適用されます。
1. 国公立大学(一律)
国公立大学は、上限額がほぼ「標準額(実際の学費)」と同額に設定されているため、多子世帯と第I区分であれば実質完全無償になります。
| 支援区分 | 入学金(1回のみ) | 授業料(年額) |
| 多子世帯枠 / 第I区分(満額) | 約28万円 | 約54万円 |
| 第II区分(2/3) | 約19万円 | 約36万円 |
| 第III区分(1/3) | 約9万円 | 約18万円 |
| 第IV区分(1/4) | 約7万円 | 約13.5万円 |
2. 私立大学(一律)
私立大学は国公立よりも上限が高く設定されていますが、学校や学部によっては実際の学費が上限を大きく超えるため、差額の自己負担が発生します。
| 支援区分 | 入学金(1回のみ) | 授業料(年額) |
| 多子世帯枠 / 第I区分(満額) | 約26万円 | 約70万円 |
| 第II区分(2/3) | 約17.3万円 | 約46.7万円 |
| 第III区分(1/3) | 約8.7万円 | 約23.3万円 |
| 第IV区分(1/4) | 約6.5万円 | 約17.5万円 |
3. 短期大学・専門学校・高専(第I区分・多子世帯枠の場合の上限)
大学以外の高等教育機関も対象です(以下は満額の場合の年額上限です。区分に応じて掛け算されます)。
- 公立短大:入学金 約17万円 / 授業料 約39万円
- 私立短大:入学金 約25万円 / 授業料 約62万円
- 専門学校(公立):入学金 約7万円 / 授業料 約23万円
- 専門学校(私立):入学金 約16万円 / 授業料 約59万円
- 高等専門学校(高専・4〜5年時):国公立 約8万円(入学金)/ 約23万円(授業料)
【生活費の支援】給付型奨学金の「月額支給額」一覧
学費の免除とは別に、学生本人の口座に毎月振り込まれる「返す必要のない奨学金(給付型)」の金額です。教科書代や一人暮らしの生活費、通学定期代に充てることができます。
重要:多子世帯枠(年収制限なし枠)の人はもらえる?
年収が「第I〜IV区分」の基準を超えている高所得の多子世帯の場合、学費の減免は受けられますが、この「給付型奨学金」は一律で不支給(対象外)となります。給付型奨学金を受け取れるのは、あくまで所得基準(第I〜IV区分)を満たしている世帯のみです。
給付型奨学金(月額)の早見表(最高額の第I区分・満額の場合)
| 学校の種類 | 自宅通学(実家暮らし) | 自宅外通学(一人暮らし等) |
| 国公立大学・短大・専門 | 約3.8万円 (年約45万円) | 約6.7万円 (年約80万円) |
| 私立大学・短大・専門 | 約4.6万円 (年約55万円) | 約7.6万円 (年約91万円) |
| 高等専門学校(高専) | 約1.2万円 〜 2.1万円 | 約3.2万円 〜 4.3万円 |
区分ごとの「給付型奨学金」月額一覧(大学・自宅外通学の例)
一番お金がかかる「私立大学で一人暮らし(自宅外)」をモデルにした、各区分の毎月の支給額です。
多子世帯枠(年収基準超):不支給
第I区分(満額):月額 75,800円(年間 約91万円)
第II区分(2/3):月額 50,600円(年間 約61万円)
第III区分(1/3):月額 25,300円(年間 約30万円)
第IV区分(1/4):不支給、または一律で年額 約5万〜10万円(※理工農系などの条件による)
国から支給される「授業料・入学金」の上限(年額)
多子世帯、または第I区分(満額)の場合に免除される上限額です。
- 国公立大学:入学金 約28万円 / 授業料 約54万円(ほぼ全額カバー)
- 私立大学:入学金 約26万円 / 授業料 約70万円
ここに注意! 私立大学の平均授業料は年間約95万〜100万円以上かかるため、多子世帯であっても年間25万〜30万円前後の差額は自己負担として発生します。「完全にタダ」ではない点に注意してくださいね。
多子世帯は要注意!知らなきゃ大損する「3人同時扶養の罠」
2025年度からの目玉である「子ども3人以上なら所得制限なし」ですが、ここには信じられないほど厳しい落とし穴があります。それが「同時に3人以上を扶養している期間のみ対象」というルールです。
子どもが3人いても、年齢の離れ方によっては無償化の恩恵をほとんど受けられません。
❌ 損をするケース(きょうだいの年齢が離れている場合)
- 第1子:23歳(社会人・扶養から外れる)
- 第2子:大学2年生(20歳) ➔ 【無償化の対象外!】
- 第3子:高校3年生(18歳) ➔ 【来年も対象外!】
第1子が大学を卒業して就職し、親の税制上の扶養から外れた瞬間、親が扶養している子どもは「2人」にカウントダウンされます。 その結果、第2子と第3子は「子ども3人以上の多子世帯」という特権を失い、従来の厳しい所得制限(第I〜IV区分)で判定し直されてしまうのです。
⭕ 恩恵をフルに受けられるケース(きょうだいの年齢が近い場合)
- 第1子:大学4年生(22歳・扶養内)➔ 対象
- 第2子:大学2年生(20歳・扶換内)➔ 対象
- 第3子:大学1年生(18歳・扶養内)➔ 対象
3人が同時に大学等に在籍している(または高校生以下で扶養されている)期間は、全員が所得制限なしで無償化の恩恵を受けることができます。
ママへのアドバイス 「子どもが3人いるから、学費は心配ない」と思っていると、上の子が就職した途端に対象外になり、学費パニックに陥る可能性があります。年齢差があるご家庭ほど、これまで通りの自力での教育資金準備が必要です。
お住まいの地域は?自治体独自の「完全無償化」の動き
国の制度には厳しい制限がありますが、お住まいの都道府県によっては、国よりもはるかに手厚い独自ルールでの無償化が進んでいます。地域検索(GEO)で見落とさないよう、最新動向をチェックしておきましょう。
- 大阪府:2026年度に「大阪府立高校・大阪公立大学の完全無償化」が学年を問わず全面的に完成。世帯年収や子どもの人数に関わらず、府民であれば無償化されます。
- 東京都:都立大学の無償化について、世帯年収910万円未満の制限を撤廃するなど、独自に中間層への支援を拡大しています。
これらはお住まいの地域(住民票がある場所)や通う大学の所在地によって条件が異なるため、「(お住まいの都道府県名) 大学無償化 独自」で定期的に確認することをおすすめします。
結論:大学無償化はずるいのか?
2026年現在の大学無償化制度は、拡充されたとはいえ「きょうだいの年齢差」や「子ども2人以下の家庭への厳しさ」など、まだまだ不公平感や落とし穴が多いのが実態です。ずるいといえば、ずるい、そう感じても仕方のない状況ですね。
「うちは無償化の対象になりそうにない…」
「対象期間が短そう…」
そんな風に落ち込む必要はありません。
制度に振り回されないためには、早い段階からの自力での防衛が一番確実です。
学資保険だけでなく、新NISA(少額投資非課税制度)や2027年からはじまるこどもNISAなどを賢く活用し、効率よく教育資金のベースを作っていきましょう!
当ブログでは、子育て世代のための新NISA活用法や、失敗しない資産運用のコツも発信していますので、ぜひ他の記事も参考にしてみてくださいね!



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